叱らない子育てでどうして子供の心と親の心が育まれるのか?
叱らない子育てと、叱れない子育ては違います。
教育書などでは、子供は褒めてそだてましょうとか、怒ることや叱ることはよくありませんと書かれていたりしますが、その言葉だけ鵜呑みにして、根本的な理由を理解し実践しなければ、親子の関係を築くことも、心を育むことにも繋がりません。
叱らないで褒めましょうというのは、子供の可能性の芽を親の価値観や凝り固まった考え方でつぶさないようにしましょうという教訓であって、叱るのがいけないということではありません。
もし叱るのであれば、感情をぶつけるのではなく、子供と同じ目線でお互いに理解しあうことなのです。この子供と同じ目線でというのがとても大切です。
これは自分の子供時代と対比させ、私の子供のときはこんなに大変だったんだ!苦労したんだ!と自分の気持ちを同情させるためのものではありません。
あくまで自分が子供の時に、親にどうして欲しかったのか?どうだったらもっといい関係が築けただろうか?という視点に立つために対比させ、自分がして欲しかったことを子供にしてあげるのです。
そうすることで、自分の心も子供の心も育まれていきます。
では僕が経験した教育書には載っていないリアル子育て体験を通して、どうやって子供の心が育まれ、僕も成長していくことが出来たのかについて触れていきたいと思います。
これを知れば、心を育てるポイントは、とってもシンプルで当たり前の「たった1つの事」にあることがお分かり頂けると思います。
★子供が欲しいというものを買いすぎるのは良くない
僕がまだサラリーマンだった20年近く前の事。
子供が「欲しい」とねだる殆どのモノを「いいよ」と妻は与えていました。最初はおもちゃ、レゴブロックなどから始まり、それが小学生くらいになるとTVゲームへと発展していったのです。
100円、200円のお菓子ならまだしも、1つ5000円近くするゲームを次々買ってもらう子供。
でも実情は貯金も殆どないし、僕のおこずかいは微々たるもの。かといって、いちいち口を出すのもカッコ悪い。
でも態度には出るらしく…。
子供がゲームを買ってもらって喜んでいる横で、不機嫌になる僕の姿があったのです。
ある日、僕は妻に言いました。
「子供が欲しいと言うものを何でも与えるのは良くないよ。モノに対する感謝の気持ちが無くなってしまうから…」
正論と思って伝えた言葉に意外な返答が返ってきたのです。
「そうかなぁ。私はそうは思わないけど。」
「どうしてそう思わないの?」
僕は、すかさず聞き返しました。
「あなたも子供の頃、欲しいと思っても買ってもらえない事なかった?」
ズキッと心に突き刺さりました。
僕が子供の頃、自分の欲しいと思って手にすることが出来たのは数えるほどでした。
努力して努力して、手にしたバットとグローブ。友達もみんな持ってるし、どうしても欲しいとダダをこね続けたファミコン。
でもいずれも、それなりの条件をクリアし、そのご褒美として何とか得られるものだったのです。でも友達の中にはファミコンソフトを全種類持っている子も、欲しいというものを何でも買ってもらえる子もいました。
もしかすると妬んでいたのだろうか…。
その子を…。
そして今度は子供たちを…。
僕は限られたおこずかいの中でやりくりし、子供達は欲しいものが与えられる。
この構図は幼少期と同じものだったのです。
それでこれは自分の克服すべきテーマとして浮き彫りにされたんだと理解しました。
子供の教育上よくないと僕が言ってるのは体裁だと理解していたが、まさかそんなところに繋がっているとは考えもしませんでした。
せいぜい、お金に対する葛藤だろうなぁとか、もっと仕事頑張って気にしないで済むくらいに稼げればいいだけの事だよなぁとか、着地点はそのあたりに落ちつくと予想していただけに、妬みなんてキーワードが出てくるとは…。
その時、妻が言った言葉が今でも忘れられません。
「子供が欲しいっていうものは、私たちにできる範囲であれば何でもしてあげたい。不足や我慢をさせたくない。得たいものが得られるって私達だって幸せでしょ?子供にもそれを味あわせてあげたい。」
「それはわかるよ。でもあまり与えすぎると、その気持ちも薄れちゃったりしないかなぁ?」
「大丈夫!心が育まれるから!!」
妻の言葉はあれから20年経ったいま、現実のものになっています。
学校生活の話を聞いていても、友達を思いやれる優しさを節々に感じることができるし、困っている人をみれば自分から手を差し伸べる優しさがあるのです。
娘は、大学が休みの日は教育実習で訪れた小学校にボランティアとして活動し、息子は、お盆や年末年始などみんなが休みたがるところも、「じゃあ僕が出ます」と頑張っています。
そして社会からの評価が非常に高い。
これは親としても非常に嬉しい事です。
さらに嬉しいことは続きます。子供たちがバイトして稼いだ一番最初のお給料は家族で食事に行くと決めていたらしく、レストランに招待してくれたのです。そしてメニューを見せるなり、「好きなもの好きなだけ頼んでいいよ!」その得意げな顔には、それができる嬉しさに溢れていました。
家の外だけ頑張っているわけじゃなく、家族にしていることの延長としてできていることがホンモノだなぁと感心しています。
★心を育てるポイントは、とってもシンプルで当たり前の事にある。
僕の体験を通して心を育てるポイント挙げるとするなら
「受け入れる」
子供の気持ちを受け入れる。この一言に集約されます。でも最初はなかなかそれが出来ないのです。自分の育んできた価値観や考え方が邪魔をするからです。
・○○とはこういうものだ!!
・○○でなくてはならない!!
・○○しないとこうなってしまう!!
と頭ごなしに子供を叱ってしまったり、それを教育(子育て)と勘違いしてしまっていることが問題です。
子育ては、子供を育てるという機会を通して、親(個)を育てる機会だったと今改めて感じるのです。親は子供ができることで初めて親を体験します。だから失敗もたくさんある。
でも子供はそんな親を根気よく受け入れて来てくれている。
そう思いませんか?
僕は子供たちとの関わりによって沢山学ばせてもらうことができました。
それを息子に伝え感謝しました。すると、息子が僕にこう言ったのです。
「かけた恩は水に流し、受けた恩は石に刻め」
んにゃろう!!(笑)
【番外編】なぜ雨が降る度に傘が折れるのか?
我が家では雨が降るたびに傘が1本ダメになります。
原因はどこにあるのか?
マンションのベランダから、小学生数名がはしゃいでいるのが見えたので、妻を呼んで二人でずっと眺めていました。すると傘を開いた状態で、思いっきり振り回し、逆開きにして遊んでいるのを目撃しました。その中心にいるのは紛れもなく息子でした(^^;)
妻は知っていたようで「叱らないであげてね」といいます。
「壊れたらまた買えばいいし、あんなに楽しそうにしてるんだから。」
そうか…。心を育てる…。
しばらくして、「ただいま~!」と元気よく帰ってくる息子に、また傘壊したのか~!!と聞くと
「すごい風が吹いてね。」
こんな風に?と僕が真似して傘を壊して妻にこっぴどく叱られたのでした。
「お父さん、まだまだだね!」
こんなはずじゃ(TT)