海外生活でのカルチャーショック5つの段階とその対処策

生まれ育った環境と違う文化・習慣の地での海外生活は、不安やストレスを感じることも多くあり、精神的に不安定になることがあります。

これらの心身の混乱は、生まれた時から慣れ親しんだ、文化と違う集団に接したときに引き起こる、心理的混乱、パニック、つまり・・カルチャーショックです。

カルチャーショックは誰にでも起こりえる、自然な心の状態です。今あなたがもし、海外生活で心が不安定に感じていたら、カルチャーショックには5段階の心理過程があることを知ることで、状態を客観視でき、心の負担を軽くすることができます。

ここでは、カルチャーショックの5つの段階と、その根本的な対処策をご紹介します。

1.カルチャーショックとは

カルチャーショックとは、外国・国内を問わず、自分の文化・習慣、考え方と離れたものに触れたときに起こる、心理的ショック、戸惑いのことですが、初めて目にしたものに驚く、という程度の軽い戸惑いもあれば、精神的な病を引き起こすほどの、心理的ショックを感じる場合もあります。

海外生活の場合、家の造り・トイレの仕組みの違い、日本食が手に入らない、などでもストレスを感じることがあります。日本で暮らしていたら考えてもみなかったことが大きなストレスとなるのです。

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また、言葉の壁で、現地の人とうまくコミュニケーションがとれないとき、まるで子ども扱いをされているように感じ、自尊心を喪失することもあります。

もともと語学に自信があったり、一人で海外へいく勇気のあった人は、現地の生活で心が不安的になってしまったことにショックを受けることもあるかもしれません。

しかしこれらは、あなたが劣っていたり弱いから起きる心の混乱ではなく、誰にでも起こりえる心理状態です。そもそもカルチャーショックとは、新しい価値観や習慣に適応しようとすることで起こる自然な心の状態です。

この5段階の心理的プロセスを知ることで、今の自分の心の状態を客観視しやすくなります。客観視できると、苦しく感じることも、自分自身の成長のための大きなチャンスと捉えることができるようになるのです。

2.海外生活へ適応するまでの、5つの段階

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カルチャーショックについて研究したアドラーは、異文化への適応プロセスを5段階にわけて考えました。そこで、カルチャーショックはマイナス要因ではなく、自己の成長や異文化への理解を深めるきっかけだと述べています。

住んでいる国や環境によっても違い、すべての人が同じ段階をたどるわけではないと思いますが、私の場合は、15年の海外生活の中でこの過程をたどりました。

始めは、なぜ自分がこの様な心理状態になったのかがわからず辛く感じた時期もありましたが、この5段階の適応プロセスを知り、自分のたどってきた状況を客観的に知ることができました。

そしてカルチャーショックの段階についての予備知識があると、実際に海外生活をするときに受けるダメージを和らげたり、状況を客観視することで、気持ちを楽にすることができると感じました。

以下はアドラーによる、「異文化適応の5段階」の抜粋をご紹介します。

第1段階:異文化との接触の段階

この段階は、異文化に接触したばかりの状態です。別の文化を自分の視点からみていて、文化的な違いに新しいものを発見した喜びを感じ、わくわくしている段階です。今までの行動パターンを崩すことはなく、自信をもって行動もできます。

第2段階:自己破壊の段階

自文化と、異文化の違いが気になり始め、混乱する段階です。自分とは違うという意識が増して、自尊心を失っなたり、どの様に行動していいかわからなくなって、引きこもりがちになります。

第3段階:自己再統合の段階

さらに混乱が酷くなり、異文化に拒絶を感じる段階です。相手の文化の人たちをステレオタイプ化したり、悪口をいったりします。神経過敏になって、怒り、激怒、不安、フラストレーションを感じます。

しかし、否定的な行動は、自己肯定と自尊心の成長の表れでもあります。文化の差異に気づき、自分の直感に基づいて行動できるようになるという点では前進です。

ショックのただ中にある人は、この段階で、自分の文化へ戻るか、以前の表面的な付き合いに戻るか… あるいは、文化の差をうけとめて、新しい現実に対処していこうとするかを選択することとなります

第4段階:自律の段階

第3段階を乗り越えられると、文化の違いや共通点をありのままに認めることができるようになり、ふたたびリラックスや共感を取り戻し、新しい状況や考え方に対して、柔軟に対応できるようになります。

第5段階:独立の段階

自分がどの様な文化に影響されているかを把握できるようになったため、状況に応じて、どちらの文化の行動パターンをとるかを選択したり、または、全く新たな行動もとることができるようになります。

自分の気持ちに忠実に行動することができて、生き生きとしてきます。文化による違いもプラスと捉えるようになり、相手文化の人たちも、その人たちが属する文化の影響を受けていることを理解できたため、ステレオタイプではなく、一人一人を見ることができます。

3.長期間の海外生活で体験する、心のゆらぎ

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「異文化適応の5段階」の第3段階では、さらに混乱が酷くなり、異文化に拒絶を感じる、とありましたが、

数か月、数年の短期間の滞在の場合、この様な心理的状態が起こっても、捉え方次第で、ある程度は変化に適応していくことができるかもしれません。

それは短期滞在の場合、深い部分での、文化的なアイデンティティーの書き換えは起きないから…という心理学的な見方もあります。

しかし滞在期間が長期間の場合、生まれ育った文化で築いた、「自分」という土台部分のアイデンティティーに、深いレベルで揺らぎが起こることがあるそうです。そうすると、精神的危機を引き起こすこともあります。

新しい文化にうまく馴染んで、その国に溶け込んで暮らし、家族もできて、数年間はなんの問題もなく生活していた人でも、あるとき、配偶者や家族との思わぬいきちがいで、心が混乱することもあります。

そんな時、相手の国や人へ反感を持って批判をしたい気持ちになったり、何もかもがいやになったりして、不安や疲労感、あせりや憂鬱、心身共に大きな負担がかかることもあります。

また海外生活の場合は、言葉や習慣の違いで、自分だけが理解してもらえない…と強く孤独感を感じたり、日本語で相談できる人が近くにいない場合、心理的負担が大きくなることもあるのではないでしょうか。

4.新たな自分へのチャンスのとき!

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しかし、この様な深い部分でのカルチャーショックを経験し乗り越えることは、より広い視野で、物事を見つめる洞察力と、意識を広げる、大きなチャンスと捉えることもできます。

「異文化適応の5段階」では、第3段階で、『自分の文化へ戻るか、以前の表面的な付き合いに戻るか… あるいは、文化の差をうけとめて、新しい現実に対処していこうとするかを選択することとなる』とありましたが、

文化の差をうけとめるとは、相手文化に合わせることでも、自分の価値観を捨てることでもなく、二つを融合させて、新たな自分へ変容させていくことなのです。^^

具体的にそれは… 自分の中にある、常識、思い込み、観念を見つけ、新たな価値観を構築していくことでできます。

この様に国をまたがる価値観を超えて、新たな自分への変容は、本当に貴重な体験だと思いませんか。

海外生活では、単に言語や文化の違いだけではなくて、「自分自身」について学ぶことができるのです!

5.カルチャーショックの根本的対処策(具体例)

それでは、カルチャーショックの根本的対処策である、新たな自分へ変容すること(常識、思い込み、観念に気づき、新たな価値観を構築していくこと)について、具体的にお話させていただきます。

たとえば、食事の仕方の違いについて、例をだしてみていきたいと思います。

世界には手食文化の国も多くありますが、現在私が暮らしている国でも食べ物の種類によっては、手でごはんを食べる習慣があります。

町中の食堂で、きれいな指輪をはめて、お化粧をした女性が、手づかみでごはんを食べる様子を始めてみかけたときは、少しびっくりしたのを今でも覚えていますが、この様な光景は、旅行で訪れた場合、文化の違いが逆に楽しみの一つに感じるかもしれません。

しかし、実際の生活となると、ごはんを手づかみで食べることに抵抗がある人にとっては、それだけでストレスを感じることもあります。

「ごはんを手づかみにすることは汚い」と感じる場合、相手国の人に手で食べることを勧められただけで、いやな気持ちなったり、人が手で食べている姿を見るだけでも、生理的な嫌悪感を感じる人もいるかもしれません。

しかし、嫌悪感を感じるのは、自分の中に、「ごはんを手づかみで食べるのは、汚い、野蛮」や、「食事はきれいに食べるべき」という、常識や観念があるからです。これらは、自国の文化・習慣に影響を受けたものですが…

ここでは、日本にいたら当たり前に感じることも見直していき、自分の中の常識、思い込み、観念を見つけていくことが大切になります。

☆☆☆

まず自分の中にある、「~べき」という観念を見つけてみましょう。

例えば、「食事はきれいに食べるべき」

「~べき」という観念は、いつも「善悪の観念」とセットになっています。この場合ですと…
「食事をきれいに食べることは良いこと」「汚く食べるのは悪いこと」、という善悪の観念が隠れています。

そして、「ごはんはお箸やスプーンで食べるもの」という常識と、「食事はきれいに食べるべき」という観念を持っていた場合、「手でごはんを食べることは、きたない、野蛮な食べ方」という感じ方、考え方(観念)が生まれます。

すると、人に手で食べることを進められた時は、「そんな汚い食べ方はするのはいやだ(良くないこと)」と、相手への反発心や、いらだち、時には、怒りの感情もでてきます。

また他人が手で食べている姿をみただけでも、「汚い食べ方!(良くないこと)」と、相手に嫌悪感を感じることもあるのです。

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これらは、常識や観念が自分の中にあるから、起きてくる心の動きです。物事を「よい、わるい!」と判断する善悪の観念は、まるで裁判官のようなのです。

逆に、常識や観念がないと、そこには、「手でごはんを食べる」という行為が存在しているだけで、良くも、悪くもないので、いらだったり、嫌悪感を感じたりすることはありません。

☆☆☆

この様にまずは、自分の中の常識や観念を見つけていくことが大切です。見つけたら、その観念は手放していきます。手放すとは、相手文化に合わせて、手でごはんを食べるようになる、ということではありません。

自分にとって、好まない行動は無理にしなくてもいいのです。しかしそこにある、常識や観念は書きかえていきます。

たとえば、「~はよくない」は、「~はよくないけど、そうできない時もあるよなあ…」ぐらいに、まずは緩めて考えてみます。こうやって、常識、観念を書きかえることは、自分で自分を縛っていたルールを書きかえて、鎖をほどいていくようなものなのです。

鎖がほどけてくると、相手も自国の文化や習慣に影響を受けた考え方や行動をしていることが見えてきて、違いがあっても、不快に思うことはなくなり、相手のありままを認めることができるようになります。

これが、新たな価値観を構築し、新しい自分へ変容させていくことです。

6.最後に…

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この様な、常識、思い込み、観念を見つける作業は、海外生活で孤独感を感じているときに、一人で向き合うのは難しく感じることもあるかもしれません。

私の場合はそんなとき、ニチメコと出会いました。海外生活でも、インターネットを使って日本語で学べ、スカイプなどで仲間と話ができたことは、大きな情報源と、心の安定の場となりました。

あれから7年… 日々、自己観察と気づきの連続ではありますが、以前と比べ心は軽くなり、今は二つの国どちらも故郷のような気持ちで、帰国して日本へ帰った時も、この国へ戻ってきた時も、どちらも、ああやっぱりここが落ち着くなあ、と感じられるようになりました。^^

海外生活で不安を抱えている方、あるいは、国際結婚で配偶者との価値観の違いで悩んでいる方…、少しでもお役に立てれば幸いです。

最後まで、読んでいただきありがとうございます~☆

 

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